FXレポート

強まる利上げ幅縮小 米雇用統計は確度を見極めるイベントか

-前日サマリー-
 ドル円は137.99円でオープン。東京市場では前日のNY市場でのパウエルFRB議長のハト派発言から始まったドル売りの流れが続き、10時前には8月26日以来となる136.74円まで下げ幅を拡大。午後に入ってからも、もう一段ドル売りが加速する展開となり、136円前半まで下値を広げました。欧州勢が参入したロンドン時間序盤では一時買い戻しが入り、136.66円まで戻す場面が見られるも、上値は重たく、米長期金利の低下と共に再びドル売りの流れに。135円台を割れる動きとなりました。NY市場でもISM製造業景況指数の結果が予想を下回ったことが相場の重しとなり、日通し安値を更新。そのまま、ドル安の流れが続き135.27円で取引を終えました。

-強まる利上げ幅縮小 米雇用統計は確度を見極めるイベントか-
 本日のイベントは、豪ロウRBA総裁発言、欧ラガルドECB総裁発言、NZオアRBNZ総裁発言、カナダ失業率、米雇用統計、米エバンス・シカゴ連銀総裁発言が予定されています。
 先日、パウエルFRB議長は講演の中で「利上げペースを落とす時期は早ければ12月」と発言、これを受けて相場はドル売りで反応し、足元のドル円は8月以来の135円台まで下値を広げています。目新しい発言ではなかったものの、利上げペース減速への過度な期待を牽制するのではないかとの思惑が広がっていただけに、それを否定する形となった議長の発言はドル売りの反応を強めたと考えられます。12月FOMCでは0.50%の利上げの公算が高まったものの、今後の米経済指標の結果次第では先行きの不確実性が高まる可能性も考えられるため、本日の米雇用統計には注目が集まります。
 本日の米雇用統計では失業率の予想値は3.7%と前回発表値の3.7%と変わりありませんが、非農業部門雇用者数は前回値+26.1万人から+20.0万人に下振れする予想となっています。また、パウエルFRB議長は「労働需要と賃金の伸びが鈍化する兆候は暫定的なものしか見られない」と発言しており、賃金上昇の確かな鈍化が確認できていないことへの懸念を示したことから、平均時給の動向にも注目が集まります。平均時給の予想は+4.6%と前回値+4.7%からやや鈍化することが見込まれています。結果が市場予想を下振れる場合は12月会合の利上げ幅縮小を後押しする格好となるためドル売りで反応することが想定されます。一方で、予想を上振れれば0.50%利上げ観測の後退からドル買いで反応する可能性が考えられます。いずれにせよ、12月FOMCでの利上げ幅を見極めるイベントの1つになりそうです。

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