豪ドル円(AUD/JPY):今後の見通しは?注目点を解説 - みんなのFX

豪ドル/円のリアルタイム為替レート

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経済指標カレンダー(2024年12月)

オーストラリアの経済指標カレンダーです。今後の予定を抑えておきましょう。

豪ドル/円の特徴

オーストラリアの概要

日本でも馴染み深い国、オーストラリア。南半球最大の大陸国家で、グレート・バリア・リーフやエアーズロックといった世界遺産も観光地として人気があります。観光産業とともに、オーストラリアはその豊富な鉱物資源による貿易が同国経済を牽引しており、その主な取引先は目覚ましい経済発展を遂げた中国となっています。

エアーズロック

オーストラリアはイギリス連邦加盟国

オーストラリアは、その国旗のデザインからもわかるようにイギリス連邦加盟国であり、イギリスはもちろん隣国のニュージーランドとの結び付きが強いことも特徴のひとつです。そのため、政治や金融政策において似たような態度を示す場面が見受けられます。また、住民の約2割が移民で占められており、そのなかでも中国などアジア系移民が多いことでも有名です。

コロナショックからのいち早い経済回復を成功

さて、オーストラリア経済に目を移すと同国経済は2018年までの28年間にわたり年度単位でのプラス成長を実現してきています。ですが、新型コロナウイルス感染拡大やドル需給問題などの影響によって2020年の経済成長率はマイナスに転じてしまいました。しかし、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた初期から財政・金融双方において大胆な支援策を打ち出したことによって同国経済は他国と比べ悪化せず、結果的に早い段階でコロナショック以前の水準を回復するとその後も着実な成長を続けています。

豪ドルの特徴

オーストラリアドル(以下、豪ドル)は、米ドル・ユーロ・円・ポンドに次いで世界でも5番目に取引量の多い通貨です。そして先にも述べたように、豊富な鉱物資源を有することから資源国通貨と呼ばれており、その代表格として人気を集めています。

かつては高金利通貨として投資家から人気を集めましたが、政治面や経済面での不安要素が少なく、比較的カントリーリスクの低い通貨としてみられています。

主要国の石油・石炭・天然ガスの生産・輸出シェア(2021年)

(出所)BP 「Statistical Review of World Energy」

資源価格の値動きに左右されやすい

資源国通貨としての特色が色濃い豪ドルですが、鉄鉱石やボーキサイトといった鉱物資源に加え、石炭や天然ガスといったエネルギー資源の商品相場に連動して為替相場が影響を受けます。もちろん、同国の経済においてもこれら資源貿易は重要な位置を占めており、商品相場の値動きがオーストラリア経済に与える影響は非常に大きいと言えます。

豪ドル/円 価格の20年間の推移

豪ドル/円 価格の20年間の推移

(出所)ブルームバーグ

中国との経済的な結び付きの強さ

また、オーストラリア経済と強い結び付きのある国、中国の経済動向にも豪ドルは影響を受けやすいという特徴があります。世界の工場たる中国が経済的発展を遂げる。その過程で大量の鉱物資源が消費される。鉱物資源が貿易のトップ品目であること、輸出のその多くが中国相手であることなどから、オーストラリアは影響を受けてしまうのです。

政策金利を決めるRBAの動向

豪ドル相場の見通しを予測するうえで、オーストラリア経済の指標チェックは欠かせません。なかでも、オーストラリア準備銀行(Reserve Bank of Australia 以下、RBA)が発表する政策金利や声明文は非常に高い注目度を集めます。

RBAはオーストラリアを見舞ったコロナショックに対応し、その経済支援の一端として政策金利を過去最低の0.10%まで引き下げました。その後、RBAが注視していたインフレ率や失業率などが改善に向かっていく中で利上げが進んでいき、一時停止を挟みながら2023年11月会合まで利上げを継続しました。2024年5月時点の政策金利は4.35%となっています。
現在は金利を据え置いていますが、インフレ動向とRBAの金融政策の行方が今後の注目ポイントです。

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豪ドル/円の今後の見通し

コモディティの価格推移に熱視線

世界的に大きなダメージを与えた新型コロナウイルスの蔓延による経済活動の停滞。そのコロナショックからいち早く立ち直ったオーストラリア経済を底支えしているのが鉄鉱石に代表される鉱物資源、液化天然ガス(以下、LNG)に代表されるエネルギー資源の輸出にあります。
近年は世界的にコモディティ価格が堅調に推移しており、この流れはインフレリスクのヘッジ手段としての需要を背景に続いていくことが想定されます。したがって、オーストラリア経済の成長見通しが堅持されれば、豪ドル/円相場も比較的堅調な推移となりそうです。一方、昨今のウクライナ情勢をはじめとした地政学リスクの高まりを受けて、商品相場のボラティリティは高まっているため、資源価格が変動する局面では豪ドル/円相場への影響には注意したいです。

資源価格と豪ドル相場の推移

(出所)ブルームバーグ、豪州準備銀行

中国経済・豪中関係の動きに注目

コモディティ価格の上昇による貿易黒字は中国需要に依るところが大きいため、中国国内の経済動向や豪中関係の政治的変化にも気を配る必要があります。

現在の中国経済ですが、その足元は今まさに正念場を迎えているといっても過言ではないでしょう。2020年のコロナショック以降、初期段階では迅速なロックダウン(都市封鎖)やワクチン接種の進展から早期の経済立て直しに期待がかかりました。ただ、金融緩和による投資マネーの流入で不動産価格が高騰し、政府は住宅ローンや不動産開発企業への融資に規制を設けました。これを契機に中国市況は低迷をはじめ、中国恒大集団などが経営危機に陥りました。

足元でも、不動産を巡る不透明感が幅広く経済の足かせとなる展開が続いており、中国当局はその対応に様々な手を講じています。今後のオーストラリア経済の見通しを見極めるうえでも中国の政治・経済動向には目を向けておく必要がありそうです。

電力エネルギーを担う石炭や天然ガスのニーズ

世界各国のロシアに対する経済制裁強化により、ロシア産エネルギー資源禁輸の懸念が資源価格上昇を引き起こし、電力といった我々にも身近なところで影響を与えました。オーストラリアは液化天然ガス(LNG)の輸出シェアが産油国カタールを押さえ第1位(2021年度)であり、世界情勢がより一層の“脱ロシア”へと加速した場合、ロシアに代わる新たな調達先としてのニーズを満たすかもしれません。

RBAの動向

豪ドルの上値余地を探る上では、RBAによる金融政策の動向が最大の焦点となりそうです。RBAは2020年11月に政策金利を同国史上最低値となる0.10%に引き下げましたが、2022年5月の会合で利上げに踏み切りました。2023年4月の会合で利上げを見送り、10会合に及んだ連続利上げがストップしたものの、翌5月にはインフレの上振れリスクなどを理由に利上げを再開、予想外の決定でマーケットを驚かせました。
RBAは2024年6月の会合で政策金利を据え置き、4.35%の高水準で維持することを決定しました。声明では「直近のインフレ率は低下ベースが鈍化」と引き締めの可能性に含みを持たせており、その後行われたブロックRBA総裁の記者会見では、利上げの議論があったことも伝えられました。RBAの政策運営は豪ドル/円に対して大きな影響力を持つためその動向は注視しておきたいです。

オーストラリアの金利と為替

(出所)ブルームバーグ

〈インフレ率〉と〈経済見通し〉の綱引き、金融引き締めの効果見極めへ

豪ドル相場を見通す上で最も注目したい指標が、RBA金融政策発表です。RBAは現在の金利据え置きによって、インフレ抑制に向けた行動を続けていますが、現時点でインフレ率はRBAが物価目標としている年2%~3%のレンジを依然上回っています。

上述したようにRBAは足元のインフレ動向を背景に引き締めスタンスをとっているため、当面は現行の金利水準の維持が想定されます。とはいえ、経済指標(データ)次第であることに変わりないため、今後も声明等の内容に注目しつつ、指摘されるインフレリスクや経済の不確実性などの要素を見定めていく必要があるでしょう。

オーストラリアの雇用・物価指標

(出所)ブルームバーグ

また併せて、毎月公表される豪雇用統計も押さえておきたいです。直近は雇用環境も大都市のみならず幅広い地域で改善していることが確認されており、正規雇用を中心に底堅さが伺えるなど賃金上昇に繋がりやすい状況が続いています。対して、コロナショックで一時悪化した失業率は改善を続け、およそ50 年ぶりの低水準で推移しています。雇用者数や失業率のデータはRBAが非常に重視しているデータで、これらの変化に着目することで、今後のRBAの金融政策や豪ドル/円相場を見通すヒントが見えてくるかもしれません。

豪ドル/円に関するよくある質問

豪ドルのFXと外貨預金との違いはどうなのか?
主な違いは取引時の「コスト」と「収益機会」です。
外貨預金の為替手数料と、FXの実質的な手数料にあたるスプレッドを比較すると、FXの方が取引コストを抑えられるケースが多いです。
為替差益を狙う場合、外貨預金は円安局面でのみ利益が見込めるのに対し、FXは「売り」取引も可能なため、上昇・下落の両局面において収益機会が多いといえます。金利面でも、外貨預金は満期時や解約時に利息が付与されますが、FXはスワップポイントとして日々受け取れる他、FXはレバレッジを活用できる点なども特徴です。
豪ドルは高金利の主要通貨なの?
豪ドルは一般的には主要通貨・メジャー通貨として認知されています。
世界における知名度や流動性の高い通貨グループ「G10通貨」に名を連ね、主要通貨の中では相対的に高金利の局面が多いことから投資家に長年人気を博しており、日本との金利差によってスワップポイントの魅力は今も健在です。
高金利通貨の中でも、新興国と比べて、地政学リスクが少ない点なども支持を受け続ける所以かもしれません。
他の通貨にはない特徴はあるの?
主な特徴としては、資源国通貨である点や結びつきの強い中国の影響を受けやすい点が挙げられ、相場の注目材料となります。
また、金融マーケットでは、リスク性資産が選好されやすい局面・手控えられる局面(リスクオン/オフ)がみられ、豪ドルはリスクオン・オフに敏感に反応しやすい通貨です。
そのため、豪ドル円はその時々のマーケットの材料やデータから素直に方向感が出やすい傾向があり、相場の変動要因が捉えやすい点も特徴かつ魅力といえるでしょう。
直近豪ドルは上がっているように見えますが、100円は超えそうですか?
100円超えのタイミングもあるかもしれません。
足元では90円台後半から2022年の高値を試す局面もみられるなど底堅く、目先は中国の不動産リスクに絡む材料が重しとなりそうですが、資源相場や円相場のトレンドなどの要因がうまく嚙み合えば射程に入る可能性はあるでしょう。
ただ、100円ラインは歴史的高値圏、心理的節目にあたり、突破からは達成感や戻り売りを仕掛けたいトレーダーもが増える傾向があるため、ワンタッチで滞空時間は長くない可能性も想定したいです。
取引を始めたばかりですが、豪ドル円にはどんな取引手法がいいのでしょうか?
ボラティリティの高さを味方につけ、短期売買で値幅を狙いに行くといった取引手法などが有効といえるでしょう。
豪ドルは資源国通貨で市場のリスクマインドに敏感であり、通貨特性の違いから特に豪ドル円は値幅を伴って方向感が出やすい傾向があります。
また、主要通貨のためスプレッドコストを抑えながら取引が可能です。
ここ数年トレードが上手くいっていません。豪ドルは今でもチャンスはあるのでしょうか?
長期相場における高値圏のため、一段の上値追いはスムーズにはいかないかもしれませんが、トレードチャンスの多い展開は期待できそうです。
現在は日豪の金融政策は新たな段階へと移行しつつあり、引き続き活発な値動きは想定されます。
目先は日銀が政策正常化の動きに転じるなど、市場におけるテーマが定まってくれば大きな動きが出そうなため、トレンドに乗るスタンスが有効となりそうです。
豪ドル相場の値動きから5年後、10年後の長期見通しは明るいでしょうか?
近年は新型コロナウイルス感染拡大やロシア・ウクライナ問題などが重なり、豪ドル円はおよそ2年半の間に40円幅の変動をみせました。
ただ、過去からみれば「異例の相場」で、既に足元では落ち着きつつあり、長期的には70円~90円までのレンジ推移がメインといえます。
上下の水準ポイントでは節目100円、2008年「リーマンショック」時の史上最安値55円は意識されるため、長期の高安圏付近での高値掴みや突っ込み売りは避けたいです。
日々の値動きを追う中でも、長期相場における水準感はしっかりと持つことが重要といえます。

豪ドル/円の取引なら、みんなのFX!

かつては高金利通貨の代名詞であった豪ドル。現在でも個人投資家からの人気は健在で、2023年の国内の個人投資家における取引金額割合では3位の人気を誇っています。また、オーストラリアの政治経済や、チャートのテクニカルポイントに関するニュース配信も豊富ですので、豪ドル/円のお取引は「みんなのFX」のご利用をぜひご検討ください。
なお、先述の通り、豪ドル/円の値動きやスワップポイントの変動は、鉱物資源の需要に左右される傾向が強いため、世界経済や中国経済の動きに影響されます。また国内景気や、インフレ動向を判断するRBAの政策金利・声明文もしっかりウォッチしながら取引すると良いでしょう。
(2024年5月時点 トレイダーズ証券 市場部)

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トレイダーズ証券市場部為替ディーラー

日々、海外のニュースやチャートをチェックし、インターバンク市場にて外国為替の取引をしている、トレイダーズ証券 市場部所属の為替ディーラーが、この記事を執筆しました。
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