スウェーデンクローナ/円(SEKJPY)のチャート、相場の状況と今後の見通し

 

スウェーデンクローナ/円のリアルタイム為替レート

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スウェーデンクローナ/円の基礎知識

スウェーデンの概要

北欧・スカンジナビア半島に位置するスウェーデン王国。EU(欧州連合)加盟国でありながらも、欧州単一通貨ユーロは導入せず、自国通貨にはスウェーデンクローナを採用しています。200年以上に渡って「中立政策」を維持しており、「福祉国家」のイメージをお持ちの方も多いでしょう。国内の標準消費税25%と国民負担は高い反面、包括的で手厚い医療・福祉サービスに加え、教育面では大学の学費無料の施策など、充実した社会保障制度に驚かされます。
主要産業としては機械や自動車、化学工業、林業などが挙げられ、自動車会社の「VOLVO」は同国に本社を構えています。インテリアショップ「IKEA」やファッションブランド「H&M」など、スウェーデン発の製品は私たちの生活の中に広く溶け込んでいます。また、2023年には、スウェーデン国内にて欧州最大のレアアース鉱床が発見されました。レアアースは電子機器や輸送用機器、インフラなど幅広く用いられる材料で、世界の産出量の9割以上を占めるといわれる中国に代わり、新たな調達先としてニーズを満たす未来に期待がかかります。
このほか、スウェーデンの金融政策運営を担うスウェーデン国立銀行(リクスバンク 以下、スウェーデン中銀)は、世界で最古の中央銀行です。2009年には当時、世界初となるマイナス金利を導入するなど歴史を作り続けており、その舵取りには世界が注目しています。そして、注目でいうなればNATO(北大西洋条約機構)加盟を巡る話題がホットでしょう。2022年のロシア・ウクライナ情勢の緊迫化が申請の契機となり、加盟に難色を示していたトルコが同意に至ったことで、同国は32番目の加盟国になる見通しです。現状目立った懸念材料は見られませんが、長きにわたる軍事非同盟政策の転換はインパクトがあり、今後も動向から目が離せません。

スウェーデンクローナ/円(SEKJPY)のチャート、相場の状況と今後の見通し

スウェーデンクローナ(SEK)の特徴

スウェーデンクローナ(SEK)の最たる特徴は、ユーロとの相関性の高さです。技術立国のスウェーデンは、製造業を主体とする対外貿易が経済を牽引しており、輸出入の相手国をみると、近隣の欧州諸国がシェアの上位に並びます。したがって、ユーロ圏経済との結びつきの強さから、クローナはユーロ相場の影響を受けやすい傾向があるため、欧州諸国の経済・景気動向はチェックしておきたいです。
他方、スウェーデンでは高負担・高福祉の特色ある社会保障制度と並び立って、健全な財政運営を実現しているほか、近年の経済成長力は先進国の中で比較的高くなっています。これらの要因により、スウェーデンの「国債格付け」は大手3社が揃って最上級のプライム評価と非常に良好です。さらには、2022年9月にはおよそ8年ぶりの本格的な政権交代があるも、ここまで政治面の混乱などはみられず、また伝統的な中立国で現状目立った地政学リスクはありません。他国と比較して各種リスク要因が抑えられる点は、投資対象として魅力的といえるでしょう。
クローナ相場の特徴としては、ロンドン(欧州)時間から取引や値動きが活発となる傾向がみられます。この時間帯にはスウェーデンやユーロ圏の経済指標が発表されるため、取引する上では最も注目すべき市場です。このほか、先進国通貨の中では対円で証拠金が低いため、必要な取引コストを抑えてトレードできる点も魅力です。

国債格付け

国債格付け
出所:ブルームバーグ
 

スウェーデンクローナ/円の相場状況と今後の見通し

スウェーデンクローナ/円の相場状況

2020年のコロナショックが発生により、スウェーデンクローナ/円は10円台前半まで一時下落するも、早々に持ち直しに転じると、2021年には13円台を回復するなど、円安基調で底堅く推移しました。しかし、2022年序盤にはロシア・ウクライナ問題により、地政学リスクなどからスウェーデンクローナ/円は上値の重い展開となりました。同時に、近隣のユーロ圏ではロシアとの経済的な結びつきの強さから、原油・天然ガスなどの価格上昇に伴う物価高懸念が深刻化すると、同国のインフレも急加速しました。
これを受けて、2022年4月にスウェーデン中銀は、2019年末のマイナス金利解除以降0%で据え置いていた政策金利の引き上げに踏み切ると、その後は利上げサイクルを継続する中で、対円では底堅さを保って推移しました。2023年後半にかけては、ここまで急速で大幅な利上げを進めたFRBやECBなどの金融政策見通しにおいて、利上げ終了や次なる利下げ観測がメインテーマとなりつつある中で、スウェーデン中銀は欧米主要国と比較して緩やかなペースで利上げを進めてきたことで、利上げ観測を残すクローナは買い優勢となり、14円台に乗せるなど2015年ぶりの高値圏で推移しています。

みんなのFX(TradingView)スウェーデンクローナ/円相場の推移

みんなのFX(TradingView)スウェーデンクローナ/円相場の推移

スウェーデンクローナ/円の今後の見通し

2023年末以降のスウェーデンクローナ/円相場は、スウェーデン中銀や主要国の金融政策運営の動向がカギとなりそうです。
スウェーデン中銀は11月会合にて、大方の予想に反して政策金利を4.00%で据え置きました。国内のインフレ率をみると、消費者物価指数・CPI(前年比)はピーク時の12%台から足元6%台まで鈍化しているものの、中銀のインフレ目標2%からみれば依然高い水準です。直近の声明等では2024年以降の利上げ可能性を示唆していることから、今後は利上げ観測を残す主要通貨として、底堅い展開が想定されます。
一方で、日銀の金融政策運営も考慮する必要があります。日銀は2023年7月・10月の会合でYCCの修正・柔軟化を発表しており、今後YCC撤廃を含めた政策正常化に向けた動きが出てくれば、円高圧力が強まる可能性はあるでしょう。しかしながら、植田日銀総裁の基本スタンスは当初から変化は見られず、また仮にマイナス金利解除や利上げに踏み切った場合でも、両国の金利差が大きく縮まるとは考えにくいため、スウェーデンクローナ/円上昇の逆風となることはなさそうです。
ただ、引き続きロシア・ウクライナ情勢とその影響などは不確実性が高く、今後NATOや欧州各国を巻き込んで事態が悪化する可能性も否定できません。地政学リスクは1つの懸念材料として考慮しつつ、スウェーデンクローナの動きに注目していきたいです。

スウェーデン・政策金利と消費者物価指数(CPI)の推移

スウェーデン・政策金利と消費者物価指数(CPI)の推移
出所:ブルームバーグ
 

経済指標カレンダー(2024年12月)

スウェーデンの経済指標カレンダーです。今後の予定を抑えておきましょう。

 

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EU圏経済の恩恵を享受しながら、技術立国としての確かな基盤の下で着実に成長を続けるスウェーデン。スウェーデンクローナ/円相場は中長期ではボックス圏で比較的安定した値動きが特徴であり、現在は利上げ継続を背景に底堅く推移しています。
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トレイダーズ証券市場部為替ディーラー

日々、海外のニュースやチャートをチェックし、インターバンク市場にて外国為替の取引をしている、トレイダーズ証券 市場部所属の為替ディーラーが、この記事を執筆しました。
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