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香港は1997年にイギリスから中国に返還された特別行政地区です。一国二制度に基づいて、香港には高度な自治が保証されており、言論の自由や独自通貨の発行が認められています。香港市場は東京やシンガポールと並びアジア国際金融拠点として知られ、中国企業の重要な外貨調達拠点としての側面も持ちます。これは中国国内で流通する「人民元(CNY)」の外貨取引規制が厳しいため、取引規制のない「香港ドル(HKD)」が好まれるからです。また香港ドルは「ドルペッグ制」といった仕組みを採用している点が大きな特徴です。ペッグ制とは特定の基準通貨と自国通貨を連動させ交換比率を一定にする制度で、基軸通貨の米ドルをペッグ制の対象としています。このことから、米ドルの値動きにある程度比例して推移するといった点をおさえておきましょう。
近年の香港は2019年に政府の進める「逃亡犯条例」改正に対する抗議デモをきっかけに、政治リスクが高まりつつあります。中国政府が導入を計画している「香港国家安全法」を巡っては香港の独立性が損なわれる懸念があり、アメリカのトランプ前大統領が香港の優遇措置を停止する方針を表明しました。香港の将来を左右する重大な問題であるため、今後も香港情勢から目が離せない展開が続きそうです。
香港ドルは主に香港で流通する通貨で、民間銀行である香港上海銀行、スタンダードチャータード銀行、中国銀行の3行が紙幣を発行しています。香港には日本銀行のような中央銀行がなく、発券する際に相当する米ドルを香港政府の外貨準備に差し入れる、いわゆるカレンシーボード制が採用されています。この仕組みによって香港ドルは米ドルに裏付けられています。香港金融管理局(HKMA)が金融監督を行っており、香港ドルの米ドルに対するペッグ制を維持するために必要に応じて為替介入を行います。この「ドルペッグ制」によって香港ドルの対ドルレートは1米ドル=7.75~7.85 香港ドルのレンジ(目標相場圏)内で推移しています。また、このドルペッグ制のため香港金融管理局は独自の金融政策を持たず、政策金利を米連邦準備制度理事会(FRB)の決定する政策金利に近づけるなど、アメリカの金融政策の影響を強く受けます。こうしたことから香港ドル/円は米ドル/円の変動による影響を大きく受ける通貨ペアであると言えます。
香港ドル円は2019年に起こったフラッシュクラッシュや米中関係の悪化による下落を経て、2020年初めにかけてはじり高に推移していましたが、新型コロナウイルス感染拡大によって大きく下落となりました。一時13円を割り込み12.97円付近まで値を下げる場面も見られました。リスクオフの流れを受けた急落の同月に大きく反発する展開も見られましたが、米ドル円に同調する形で再度下落となりました。2020年は厳しい展開が続きましたが、2021年に入りアメリカや中国の景気回復などによって上値を伸ばす展開となっています。足元では14円付近で推移しており、コロナショック以前の水準に戻りつつあります。
香港ドル/円相場を見通す上で、注目の材料は大きく2つあります。1つ目は「香港国家安全法」を巡る動向です。2020年5月に中国で開催された国会に相当する全国人民代表大会(全人代)において国家安全法を香港に導入する方針が採択され、施行から1年を迎えます。近年、香港で民主派が躍進していることは独立を支持している有権者が多いことを意味しており、中国政府はこれを阻止したい構えが伺えます。7・8月に予定される習近平国家主席と側近で行われる「北戴河会議」の動静や香港の立法会選挙に向けた動向は香港ドル/円相場を動かす要因となりそうです。
2つ目の注目材料は米中関係です。トランプ前大統領が保護主義を推し進めたことで中国との関係は今まで以上に冷え込み、追い打ちをかけるように新型コロナウイルスの対応を巡る軋轢が生まれました。2020年11月の米大統領選挙の結果を受けて民主党のバイデン新大統領が就任しました。一定の米中関係の改善が見込まれているものの、バイデン新政権下でも中国との通商政策の総合的な見直しや不公正な通商制度の是正を掲げたことで、再び貿易摩擦の火種がくすぶっている様子も伺えます。一方で「ドルペッグ制」が引き続き維持されるのであれば対ドルでの香港ドルの下値は限られますし、今後の米テーパリング議論の進展による米ドル高局面では上昇余地も大いにありそうです。米中関係や米経済動向及びFRBの金融政策に注視して取引を行いたいです。
注目度がますます高まっている香港ドルですが、「みんなのFX」では香港ドルと日本円の組合せである香港ドル/円をお取引することが可能です。これまで述べてきたように、過去、保証されてきた高度な自治や享受してきた優遇措置が規制される可能性が高まってきていますので、香港ドル/円はこれまでにはない値動きをすることも想定されます。最新情報をしっかりとウォッチしながら十分に注意して取引する必要があります。
(2021年7月時点 トレイダーズ証券 市場部)
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トレイダーズ証券市場部為替ディーラー
日々、海外のニュースやチャートをチェックし、インターバンク市場にて外国為替の取引をしている、トレイダーズ証券 市場部所属の為替ディーラーが、この記事を執筆しました。
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