スイスフラン/円(CHFJPY)のチャート、相場の状況と今後の見通し

スイスフラン/円のリアルタイム為替レート

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スイスフラン/円の基礎知識

スイスの概要

スイスは中央ヨーロッパに位置する内陸国で、正式名称はスイス連邦です。国を象徴するアルプス山脈が国土面積のおよそ6割を占め、美しい山岳風景は多くの観光客を魅了します。「金融立国」として確かな地位を確立し、チューリッヒ・ジュネーブなどの国際金融都市を中心に世界の金融産業を牽引しているほか、スイス経済の支柱となっています。高い技術水準から「ものづくり大国」としても知られ、スイス発の時計ブランドは、世界的な人気と知名度を誇ります。また、かつては世界で最も物価の高い国と話題を集め、国内の物価や給与水準の高さに驚かされます。

多くの方がイメージする「永世中立国」の立場も特色でしょう。遡ると1815年のウィーン会議(ウィーン議定書)での永世中立宣言から、国家間の戦争や紛争に参加・関与しない立場であることが国際的に保障されています。こうした公正・中立のスタンスに由来して、「平和の首都」とも称される都市ジュネーブには、国際連合の欧州本部や世界保健機関(WHO)など、国際機関の本部や事務局が多く置かれています。毎年、世界経済など幅広いテーマのもとで著名な政治家や学者らが討論を行う世界経済フォーラム、通称「ダボス会議」の舞台でもあり、世界における独自の存在感につながっています。

スイスはEU加盟国ではありませんが、EFTA(欧州自由貿易連合)加盟国です。欧州単一市場形成における一丁目一番地である「人の自由移動」の保障に参画していることから、EU・ユーロ圏の経済発展を支えるとともに、数多くの利益を享受しています。一方で、近年はロシア・ウクライナ情勢の緊迫化する中で、北大西洋条約機構(NATO)の事務所をスイス・ジュネーブに開設するなど連携強化に向け動いており、伝統的な中立政策を巡る議論の行方にも注目が集まっています。

スイスフラン(CHF)の特徴

永世中立国・スイスの歴史的背景により、通貨スイスフラン(CHF)は一般的に地政学リスクが低いとされています。加えて、スイスは経常黒字国で対GDP比における政府債務残高が低いなど、財政状況の健全さも特徴です。このことから、米ドルや日本円と並び、ディフェンシブ性の高い通貨として、世界的な経済不安や有事といったリスク回避局面でスイスフランは選好されやすい傾向があります。
スイスフランを取引する上でもっとも注目したい点が、金融政策を運営するSNB(スイス国立銀行)の動向です。SNBの金融政策決定会合は年4回で、世界で最も少ないことが特徴の一つです。一会合における重要性は高くなるため、市場にとってインパクトのある発表になりやすい面はあるでしょう。また、政策運営においても、積極的で大胆な動きが目立ちます。SNBは行き過ぎた通貨変動を抑制するために伝統的に為替介入を行っており、過去には介入を巡る方針転換から相場の急変を招いた歴史があります。この特徴的な政策運営の背景には、国内経済が為替相場による影響を受けやすいために、ある程度相場をコントロールする必要があるとされていることが挙げられます。スイスフラン相場における”サプライズが多い”イメージは日銀と近しいといえるかもしれません。

2024年 主要国の金融政策スケジュール(発表該当月に●)

世界で最も少ない年4回の金融政策決定会合。

地政学リスクを抑えられる一方で、近隣のEU・ユーロ圏加盟国とは経済的・政治的に緊密な関係を築いており、スイス政府や金融当局は、とりわけ対ユーロ相場の動向を重要視しています。そのため、ユーロ圏の経済状況や地政学要因といった点の変化・影響は十分に考慮しておく必要があり、スイスのデータと同程度に注視しておきたいです。

スイスフランショックを振り返る

2015年1月、スイスフランの急変動から市場が大混乱に陥った、いわゆる「スイスフランショック」が発生しました。SNB(スイス中銀)が金融政策の変更・転換を発表したことが直接的な原因となりますが、そこまでの流れを振り返ってみましょう。
2008年に発生した「リーマンショック」の混乱に追い打ちをかけるように、翌2009年に「ギリシャ危機」が表面化し、ギリシャの財政破綻懸念が欧州・ヨーロッパ全体の経済危機へと波及しました。これらを背景に市場ではユーロ売り圧力が拡大した一方で、ディフェンシブ性の高さや財政の優位性からスイスフラン買いの動きが強まっていきます。
そして2011年9月、SNBは行き過ぎた自国通貨高は経済への脅威であるとして、対ユーロ相場での高騰を防ぐため、ユーロ/スイスフラン(EUR/CHF)の為替レートが〈1ユーロ=1.20CHF〉水準を割り込まないよう、ユーロ買い・フラン売りでの無制限為替介入を開始しました。
その後3年以上に渡って本防衛ラインを保ってきましたが、2015年の年明け間もない1月15日、SNBが突如として〈1ユーロ=1.20CHF〉防衛ラインを撤廃したことで、スイスフランが暴騰、CHF/JPY(スイスフラン/円)は115円付近から140円台に迫る30%超の暴騰をみせるなど、マーケット・取引参加者に大きな影響と衝撃を与えました。

スイスフランショック前後のCHFJPYの動き(日足)

スイスフラン/円が2015年1月15日に30%超暴騰した前後のチャートの動き。

出所:ブルームバーグ

スイスフラン/円の相場状況と今後の見通し

スイスフラン/円の相場状況

近年のマーケットは、アフターコロナにおける経済再開、そのさなかのロシアによるウクライナ軍事侵攻による、歴史的なインフレへの中央銀行の対応がメインテーマとなり、現在は次なるフェーズへと移行しつつあります。
ウクライナ情勢の緊迫化や対露制裁によって、特にロシアとの経済的な結びつきの強い欧州・ユーロ圏各国では、原油・天然ガスなどのエネルギー価格の上昇からインフレ懸念が深刻化しました。スイスでもインフレ上昇が確認されると、2022年6月にSNBはおよそ15年ぶりの利上げに踏み切ります。同年9月の追加利上げにより、2014年12月から長らく続いたマイナス金利を解除すると、その後は2023年6月会合まで5会合連続で利上げを実施、その後2023年度中は政策金利が据え置かれました。金融引き締め政策下において、信用力の高いスイスフランは投資対象としての魅力がさらに高まるなかで選好地合いを強め、スイスフラン/円相場は円安も支えに堅調に推移しました。
2024年に入ると、インフレ圧力の低下を受けて、金融政策の転換へと舵を切り、3月・6月の2会合連続で利下げが発表されるも、2024年前半のスイスフラン/円相場は強い地合いを維持し、180円まで史上最高値を更新しました。一方で、日銀も遂にマイナス金利政策を終了、7月には追加利上げが実施され、金利差縮小の思惑や「円キャリートレード」の巻き戻しによって円買い圧力が強まりました。スイスフラン/円は一時166円台まで押し込まれましたが、その後は持ち直し基調で、足元では170円台近辺で推移しています。

みんなのFX(TradingView)スイスフラン/円相場の推移

近年のスイスフラン/円相場の推移。

スイスフラン/円の今後の見通し

2024年後半にかけてのスイスフラン/円相場は、引き続きSNBと日銀、双方の金融政策運営がポイントとなりそうです。
スイスの消費者物価指数(CPI・前年比)は、2022年8月をピークに順調に鈍化、2023年7月は1.3%まで低下しており、SNBの目標レンジ(0%-2%)に収まる水準で推移しています。今後は利下げによる影響を含め、インフレデータと追加緩和の見通しを見極めていく局面となりそうです。ただ、この点については、引き続きウクライナ・ロシア情勢も考慮する必要があるでしょう。予断を許さない状況が続く中で、仮に緊張状態が高まるようなら、再びエネルギー価格の上昇などからスイスのインフレ見通しが軌道修正を促される可能性もあり、インフレへの警戒感は維持しておきたいです。
対して、日銀は2024年3月のマイナス金利解除の後7月の追加利上げによって、政策金利は0.25%となっています。SNBとは対照的な金融政策スタンスにより、両国の金利差は一時より縮小してきています。しかしながら、日銀の追加利上げの余波から、8月上旬には日本の景気後退懸念や円キャリーの巻き戻しによって、日経平均株価の暴落や金融マーケットの混乱を招きました。日銀の内田副総裁からは「金融市場が不安定な状況では利上げしない」と発言するなど、今後の利上げペースとその道のりは想定よりも緩やかなものになるかもしれません。
そのため、当面は両国の金利差は残り、円相場の不安定さや金融市場の混乱をきたすようであれば、ディフェンシブ性の高いスイスフランが選好されるシナリオは想定できそうです。目先の局所的な円高に押される局面はありそうながらも、いずれはスイスフラン/円相場は底堅さを取り戻していくかもしれません。このほか、中東情勢の緊迫化や、伝統的な為替介入を含めた政策運営や方針からフラン相場が変動する可能性も否定できないため、サプライズ運営に警戒しつつ、SNBの動向は常に注視しておきましょう。

政策金利と消費者物価指数

スイスのインフレデータと追加緩和の見通しを見極めていく局面。

出所:ブルームバーグ

経済指標カレンダー(2024年11月)

スイスの経済指標カレンダーです。今後の予定を抑えておきましょう。

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世界の基軸通貨・米ドルや日本円と並び、市場のリスク回避局面で選好されてきたスイスフラン、スイスフラン/円は中長期では史上最高値を更新するなど底堅く推移しています。みんなのFXでは取引コストにあたるスプレッドを業界低水準に引き下げ、お取引しやすい環境をご提供しています。またスイスは長らく続けてきたマイナス金利政策を脱却しており、両国の金利差にあたるスワップポイントも魅力です。もちろん、みんなのFXでは1,000通貨から取引が可能で、約6,800円の証拠金を預けることで取引を始められます(1フラン=170円で計算した場合)。FX取引を初めたばかり方も、少ない資金から取引が始められます。ぜひ、みんなのFXでスイスフラン/円の取引をご検討ください!

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トレイダーズ証券市場部為替ディーラー

日々、海外のニュースやチャートをチェックし、インターバンク市場にて外国為替の取引をしている、トレイダーズ証券 市場部所属の為替ディーラーが、この記事を執筆しました。
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